妊娠後期の妊婦検診で「羊水が多いですね」とか、「羊水が少な目ですね」と言われる場合があります。
医師からそう言われると、何だかとても心配なってきますよね。しかし、羊水が多めとか少な目とかは結構言われることが多いのですが、実際にそれがトラブルに繋がるのはごく稀なのです。
そもそも羊水の役割は、「胎児を包んでいる卵膜と赤ちゃんの皮膚がくっつかないようにする」「外界から圧迫が加わった時には、クッションになる」「陣痛が起きた時の衝撃を和らげる」など、お腹の赤ちゃんを守る大切な役割があります。
羊水は、妊娠7週頃は10ml程度しかありませんが、30週前後になると700~800mlにまで増えます。数字だけで見ると、そう大した量ではないと思われるかも知れませんが、実際は赤ちゃんの重さもあるので本当に重いのです…
妊娠30週頃を境に羊水は徐々に減っていき、出産の頃になる妊娠39~40週頃には、200~400mlぐらいになります。
つまり、羊水は妊娠の時期によって違ってくるのです。出産までどんどん増え続ける訳ではないのですね。この羊水の量が極端に多すぎるのが「羊水過多症」、極端に少ないのが「羊水過少症」なのです。
ただ、「極端に」と書かせて頂いた理由は、
羊水にトラブルがある場合は、どの様な状態になるのでしょうか?
まず、羊水過多症の基準値は、妊娠後期に羊水の量が800ml以上の場合です。羊水過多症になってしまう原因は、まだ分かっていないのですが、お母さんの体質が、元々羊水をたくさん作ってしまう体質であること、また胎児の中枢神経系や消化器系に異常がある場合もあります。
胎児に前述した異常があると、羊水を飲んでおしっこをするなどの機能が上手く働いていない為に、羊水が増え続けてしまうケースがあるのです。
羊水過多症だと、逆子、早産、常位胎盤早期剥離などのリスクが高まると言われています。その為、場合によっては羊水を抜く治療を行うこともあります。
羊水過少症は、胎児の泌尿器科系の異常などにより、排尿が妨げられるなどといった理由から起こります。また、羊水過少症では、へその緒が圧迫されてしまい、胎児が仮死状態に陥ったり、早産を招くこともあります。
羊水過多症・羊水過少症は稀なケース
色々と怖いことを書きましたが、実際にトラブルになる羊水過多症・過少症は稀なのです。深刻なトラブルが起きそうな場合は、医師が迅速に処置をすると思いますし、「羊水が多めですね」「羊水が少なめですね」ではなく「羊水過多症」「羊水過少症」というふうに伝えられるでしょう。
検診で「羊水が少なめですね」とか「羊水が多めですね」と言われた程度では、何の問題もないことが多いので、あまり気にしすぎないことです。医師からそう言われると、何だかとても心配なってきますが、そのことが実際にトラブルに繋がるのはごく稀なケースなのです。
心配なときは医師に質問してみるのがよいでしょう。